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萬葉集釋注(1(巻第1・巻第2)) [ 伊藤博(国文学) ]のレビューは!?

30代 女性さん
この本の元になっているのは、 1冊1万円超するような豪華版の本で、 全10冊+別冊2冊で出版されていたものです。 実は大学生の頃、その豪華版『萬葉集釈注』の 巻第二十の校正に携わっていました。 ・ 大学にそろっているので不便は無いというものの 個人的に欲しくて、ただ、 全てそろえると10万円超という金額にひるんでしまい、 研究対象の収録されているものだけ数冊買いました。 ・ 最近、この文庫本の発売を知ってびっくり。 驚くほど安価です。心おきなく全巻そろえようと思います。 ・ 伊藤博先生がひとつひとつ語り聞かせてくれるように 丁寧に解説してあって、万葉集に初めて触れる方にも 読み物として素直に楽しめる、一番おすすめの注釈書です。 * 【巻一】の〈雑歌〉【巻二】の〈相聞〉〈挽歌〉、 2巻あわせて万葉集に特徴的な三大部立の一群となっていて、 【巻一】冒頭の雄略天皇歌「籠もよ み籠持ち 掘串もよ み掘串持ち…」の求婚歌はあまりに有名。 ・ 他にも額田王、柿本人麻呂、大津皇子、志貴皇子、有馬皇子など、 万葉集の中でも古い時代(白鳳期)を代表する歌人が多く登場します。 歴史的な事件と関わる歌も多く、 古代ファン必読の巻だと思います。 個人的には、大津皇子と大伯皇女姉弟のやりとりなど是非 伊藤博先生の解説で読んで欲しい歌群。 古代の人々の息づかいまで聞こえるように感じます。 また、挽歌という万葉より後の歌集からは姿を消す部立も注目です。 人の死を悼む心が歌という形を通して、今の時代にも深く伝わってきます。